時代はリラックス感を求めています。
メンズファッションの分野においても、それは顕著です。例えば日本におけるビジネスシーンの装いは、東日本大震災による電力不足をきっかけとしたクールビズ運動なる夏場の装いの簡素化によって大きくカジュアル化の方向へと進み、昨今のコロナ禍により、その流れがより加速度的に深化、決定的になったと思われます。
また、服装が階級を表すと言う歴史的背景が色濃く残っている欧州においても服装のカジュアル化は進んでいるようで、ビジネスシーン、ドレスシーンにおける装いの簡素化、カジュアル化の波は後戻りをすることのない、世界的なトレンドになっていると言っても良いのかもしれません。
更に言えば、男女を問わず、昨今のファッショントレンドにおけるキーワードは「ビック・シルエット(オーバーサイズ)」。大きく肩を落とし、身幅が広く、ゆったりとした、リラックス感のあるシルエットの服が、若者を中心に長らく支持されています。
ファッションは繰り返すと言われていますが、過去を振り返れば、1980年代半ばから90年代にかけてもビックシルエットのトレンドが存在していました。ファッションは一旦振り切れると逆方向に向かうのが常ですから、今後はよりコンパクトで、タイトなシルエットへと回帰していくことが予想されます。
しかし人間は一旦楽な方向に流れると、元に戻ろうとはしない生き物です。
よってビジネスシーンやドレスシーンにおける大人の装いにおいては、これまでのようにスーツやジャケットにネクタイを締めるような、カッチリとしたクラシックなスタイルが一般化することはなさそう。ファッションのトレンドがタイトシルエットに向かうことはあっても、リラックス感のある、ゆったりとしたシルエットを持つスタイルも、一定数が残っていくと思われます。
このような中で、DRĒIPSが大切にしているのはファッションではなく、スタイルです。大人の男性がトレンドに大きく左右されることなく、自らの価値観とライフスタイル、生き様を表現する際の1つの手段として選んで頂きたいと思っています。
DRĒIPSは男性が美しく、エレガントに見える装いはクラシックなスタイルであると思っています。ただ、クラシックなスタイルだけだとちょっと息苦しさを感じたり、日常生活の中では威圧感を与えてしまうような空気感、時代性があるとも感じています。だからこそ、クラシックをベースにおきながも、そんな社会の雰囲気を反映したリラックス感に加えて、大人のエレガンスが共存したスタイルをご提案したいと、DRĒIPSは考えています。
受け継がれてきた歴史と職人技術を持って、体に完璧にフィットさせることを「美」とするクラシックの価値観を尊重しながら、ほど良いゆとりと、ブランド名の由来でもある”優雅なドレープが幾重にも重なるようなシルエット”を「美」とする価値観へとアップデートし、これをパターンワークとデザインに落とし込んで表現したいと思っています。
リラックス感とエレガンスの共存。
そんな想いを込めたDRĒIPSのスタイルに、ご共感頂けたら幸いです。