今日はシャツの再生産の状況について、ご説明出来ればと思います。

現在多くのシャツアイテムにおいて在庫が切れており、ご迷惑をお掛けしております。大変申し訳ございません。率直に申し上げますと、現時点においてシャツの縫製を担当頂ける縫製工場が確定しておりません。

最初に生産をしてくださった工場は事業を停止してしまい、その後生産を担当頂いた縫製工場からは、手縫いの工程が多く、生産性の確保が難しいことを理由に生産を断られてしまった経緯があります。

実は直近まで量産を頂く前提で、サンプルシャツの製作まで進んでいた工場があったのですが、やはり同様に生産ラインが手縫いの作業に耐えることが出来ず、量産は難しいと言うご回答を頂きました。

DRĒIPSのシャツは、その一部に手縫いを用いています。それは手縫いと言う付加価値を付けたいからと言う理由ではなく、ブランドコンセプトである「Relax with Elegance」をシャツにおいて表現しようとした際に、ミシンのステッチが表に出てしまうとブランドの世界観を構築することが出来ないと考えたことから、「手段」として手縫いを用いています。

具体的には衿付けと前立て、襟ぐり、ボタン付けが手縫いとなっています。特に衿周りは同じくブランドコンセプトを体現するために、襟の内側に切り替えが発生しないワンピースカラーを採用していることもあり、手縫いとなる箇所が長くなっています。

私たちが知る限りにおいて、国産の量産化シャツ(※)において手縫いの工程をここまで用いているブランドは他にはないと思っています。
※職人によるビスポークシャツや、オーダーシャツは除く

その理由はいくつかあるのですが、まず手縫いに対応している縫製工場が圧倒的に少ないと言う現状があります。ブランドタグの縫い付けやボタン付けは手縫いで行っていても、衿付けや袖ぐりをすくい縫いにて行っているシャツの国産ブランドは皆無です。

また、仮に手縫いに対応している工場があったとしても縫製工賃はミシンのみの工賃と比べて5倍前後ほどと高額になりますので、卸を前提とした販売価格にすると、税込み5万円(※)を超えてくると思われます。つまり国産生地を用いて、国内縫製かつ手縫いを用いると言うこと自体が生産と販売難易度の高いアイテムとなってしまうのです。
※品質の高い国産生地を用いた場合かつ、適正工賃を支払っている場合

更に手縫いの場合にはどうしても1点1点の品質管理が難しくなることから、大量生産には向いていないと言うこともあるのだと思います。

私達はこれまで50社近い縫製工場にアプローチしてきましたが、感覚的には凡そ8割の企業からはご返答を頂けず、1.5割ほどの企業からはお断りのご連絡があり、0.5割前後の企業のみご対応頂ける感じです。それほど、日本国内で手縫いのシャツを量産化することは難しい状況になっているのです。

正直シャツの再生産を諦めることを考えたことも何度かありましたが、小さなブランドながらリピートでご購入を頂いているお客様や、他の生地による展開を楽しみにして頂いてるお客様の存在があることから、なんとか再生産することが出来ないか、検討を進めています。

このような中において、実は現在DRĒIPSのシャツの生産をご検討頂けている工場が1社のみですが、存在します。当該工場は高級ブランドの服を手掛けており、縫製のクオリティが非常に高いことで知られています。私達も恐らくご返答は頂けないだろうと言う前提でお問合せをさせて頂いたのですが、先日ご返答があり、実際に工場までお伺いをして、お話を伺ってきました。

これからサンプルを作成し、量産化における諸条件を含めてお話をさせて頂く予定となっています。

仮にご対応頂けるとなった場合には、恐らくこれまで以上に縫製のクオリティ、品質が向上することが考えられます。ただし、その場合であっても現状の価格で販売することは難しくなることが予想されます。それは生地自体の価格が上がっていることや、量産化シャツとしては手縫いの工程があまりに多いことから、1枚当たりの縫製工賃が高くなるためです。

モノづくりへの想いと、コダワリ。そして縫製を手掛ける工場の経営や生産性、更にお客様がご納得頂ける価値と価格。これらの全てをバランスさせないと、継続的なモノづくりは難しく、改めて自分たちが目指そうとしているモノづくりの難易度の高さを感じています。

それでも全ての状況が整えば、「Relax with Elegance」をまとったDRĒIPSの新しいシャツをお届けすることが出来ると思っています。そうなる日が来るように努力してまいりますので、もう少しお待ち頂ければ幸いです。

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